骨盤・背骨がゆがむと身体にはどんな事がおこる?①

まずはじめに、骨盤や背骨は身体にとってどんな働きをしている組織だと思いますか?
大きく分けて2つの働きがあります。

1.骨格と筋肉で体を支えて動かすための働き
2.脳と体の隅々とをつなぐ神経の通り道

1.立っていたり座っている時には体のいろいろな筋肉が無意識のうちに働いています。
重い頭部を支えるために首や肩の筋肉は常に緊張しています。
電車で居眠りしている時に頭がこっくりこっくりするのは、眠ってしまうと筋肉が緊張しなくなってしまうからです。
立っている時や歩いている時には脚のいろいろな筋肉が働いています。
貧血などで意識がなくなったときは、脚の筋肉が働かなくなってしまうのでバタッと倒れてしまいます。

普段生活している時に、今どこの筋肉が働いているかなどと意識する人はほとんどいないと思いますが、脳が自動的に指示を出していろいろ  な筋肉を動かしてくれています。

1つ簡単な例を挙げてみます。地面に棒が立っている時、まっすぐ垂直に立っている棒と斜めに立っている棒ではどちらが倒れやすいでしょうか?
人間も立っている時は棒と同じで、バランス良く立っている方が倒れにくいので身体を支えるための筋肉が疲れずにすみます。

つまり、骨盤や背骨にゆがみがあるとそれ以上バランスが崩れる方に行かせないために、より多くの筋肉が働かなくてはいけなくなります。
ゆがんだ状態が長期間続いていると、毎日同じ筋肉が酷使されて疲労が蓄積してきます。
これが筋肉のコリです。コリが限界を超えると痛みとして感じるようになります。
こった筋肉は固くなり柔軟性が無くなるので、少しの負荷がかかっても傷つきやすくなります。
ギックリ腰や首の寝違いなどが起こるのはこういう理由です。

この状態ならまだ筋肉の傷だけなので、時間がたてば回復することが多いので安易に考えている方も多いようです。
しかし、この状態を繰り返していると筋肉だけではなく背骨の関節部分にも疲労が蓄積してくるので、坐骨神経痛や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの神経圧迫をともなう症状に進行します。

この状態まで進行してしまうと、骨盤や背骨がゆがんで身体のバランスが崩れている間は傷んでしまった患部にかかる負担が無くならないので簡単には回復できなくなってしまいます。

よく聞く話ですが、いろいろな病院や整骨院に長く通っても一向に良くならないとか、治療を受けたときは少し楽になるんだけれど何日かするともしくは何ヶ月かすると元に戻ってしまうというのは、骨盤や背骨のゆがみが改善されず体のバランスが良くなっていないからです。

レントゲンやMRIなどで背骨を検査しても・・・
湿布を貼ったり、痛み止めの薬や注射を打っても身体のゆがみは1ミリも改善しないので、ハッキリ言ってその場しのぎの気休めにしかなりません。
マッサージや電気をかけたり温めたり鍼を打って筋肉を緩めても、骨盤や背骨のゆがみが改善されずにバランスが良くなっていなければ、せっかく緩めた筋肉も時間が経てば再び固くなってしまい元に戻ってしまいます。

自分の体のゆがみを正確に把握できて、正しい方向に戻すための適切な体操やストレッチなどをして、ゆがみを作る悪い姿勢や生活習慣が改善出来れば良くなるかもしれませんが、骨盤や背骨は目に見えないので狙った部分を動かすことが難しく専門的な知識が必要です。

つまり、慢性的な肩こりや度々腰痛を繰り返す方や、しびれや筋力低下などの神経症状をともなう重度の腰痛(坐骨神経痛・腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症)などの症状は、根本原因の骨盤や背骨のゆがみをきちんと検査して正しい方向に調整して戻す事と、ゆがみを作る悪い生活習慣を改めなければなかなか改善されないのです。

次回は、骨盤・背骨のもう1つの働き「2.脳と体の隅々とをつなぐ神経の通り道」 についてお話します。